今月6月も二十日を過ぎた頃、職場で「ヒヤリハット」のメモ記入用紙というものを渡されました。小さな用紙ながら「ヒヤリハットの書式」が網羅されたものでした。日頃の仕事で「ヒヤリ!した、ハッ!としたこと」を記入して提出しなさいというものです。ヒヤリハットのメモは職場の全員に渡され、今月中に提出をと念を押されました。
今年もまた当社では、「ヒヤリハットの事例集」のための収集作業が開始されたのです。
来月7月の初日からの一週間は「全国安全週間」です。そして、全国安全週間には、準備期間というものが設定されていて、前月の6月1日から30日までの一ヶ月間がそれに該当する期間です。
このことから考えると、「ヒヤリハットメモ(報告書)」の提出は、全国安全週間の準備に相当する会社の動きのようです。
ヒヤリハットの心と全国安全週間(準備期間)
全国安全週間(7月1日~7日)を設ける意義を大雑把に申せば、安全衛生活動の自主的な促進と体勢の確立、そしてそのための教育の普及と啓蒙等、といったものです。
そして、本安全週間を前に、6月の一ヶ月間が、その準備期間とされていて、この準備期間に行うべきことも定められています。いわゆる「全国安全週間及び準備期間中に実施する事項」です。2016年の場合、これには6つの事項が打ち出されていますが、その6番目に『「安全の日」の設定のほか全国安全週間及び準備期間にふさわしい行事の実施』とあり、これが、我が社にとっては「ヒヤリハットメモ」の提出という行事であったものと思われました。
ちなみに、平成28年度全国安全週間のスローガンは以下のとおりであり、見方によっては、「ヒヤリハット」への意識の高揚こそ、ふさわしいものとも思えます。
スローガン:『見えますか?あなたのまわりの見えない危険 みんなで見つける安全管理』
ヒヤリハットメモ(報告書)は必ず提出せよ
ヒヤリハットメモを渡された同じ職場の人の一人が、上司に対して「ヒヤリハットしたことが無いのですが、出さなければいけないのでしょうか・・」と質問。すると上司は「必ず出せ!」とのことでした。
このヒヤリハットメモの提出。悪く言えば、型どおりの行事の押しつけとも受け取れますが、「日頃の業務を遂行するにあたり、不安全な状況に対する感受性を高めよう」というキャンペーン、という捉え方も出来ると思います。
事故は起こってしまったら大変なわけで、これを未然に防ぐ「心の体勢」を備えるにあたり、ヒヤリハットはまさにうってつけなのかもしれません。
ヒヤリハットメモの書式(報告書の内容)
ヒヤリハットした内容のメモ(報告書)の内容は、以下の項目によって指示(質問)されていました。
- 誰が?
- いつ?
- 天候はどうであったか?
- どこで?
- 何を?
- どのようにしていた時か?
- それで、どのようなことが起きたのか、起きそうになったのか?
- これらのことを無くすにはどうしたら良いと思うか?
「いつ?」については、年月日と何時頃の指定までありました。ヒヤリハットメモの用紙を渡されてから「ヒヤリハット」に留意するしかないということになります。また、ヒヤリハットの内容が該当日の業務内容とマッチしていないとおかしなことになります・・。
ヒヤリハットの事例収集による効果と成果
提出を促されたヒヤリハットメモ用紙の欄外には「担当者用の記入欄」が設けられていて「分類」の項目が列記されていました。ヒヤリハットメモの内容がそのどれに分類されるのかを上司以上の人がチェックするためのもののようです。分類の列記は以下のような項目でした。
- 指のはさみ
- 扉からのとび出し
- 階段での落下
- 床面転倒・路面凍結
- 危険物の取り扱い
- 熱中症関係
- ぎっくり腰等の腰痛
- 器具の取り扱い
- その他
これらの項目による出来事(ヒヤリハット)の分類作業はデータベース化(ヒヤリハット事例集作成目的)するにも統計を取るにも必要な作業ではありますが、若干、事務的な冷たいものも感じます・・。情報収集のための成果主義的な色合いも・・。
ただ、ヒヤリハットメモを提出する側としては、意識の持って行き所を探る上で参考にはなりました。
いずれにせよ、ヒヤリハットメモの提出を促されたことで、「不安全行為」への関心が高めれれたことは確かです。実はこのことこそ、全国安全週間の準備期間において、期待する効果であり成果なのかもしれません。